【中小企業診断士】財務・会計過去問解説「H24年第10問」

過去問H24年 第10問

当期と前期との比較損益計算書(要約)は次のとおりである。これに基づいて下記の設問に答えよ。 h24-zaimutoi10

(設問1) 付加価値率に前期と当期で変化がなく、平均従業員数が前期は30人、当期は32人であるとき、生産性の変化に関する記述として最も適切なものはどれか。 ア 従業員1人当たり売上高が上昇し、付加価値労働生産性が上昇した。 イ 従業員1人当たり売上高が上昇し、付加価値労働生産性が低下した。 ウ 従業員1人当たり売上高が低下し、付加価値労働生産性が上昇した。 エ 従業員1人当たり売上高が低下し、付加価値労働生産性が低下した。

(設問2) 前々期(第21期)の売上高が950百万円、経常利益が133百万円であるとき、成長性の変化に関する記述として最も適切なものはどれか。 ア 売上高と経常利益の成長性が上昇した。 イ 売上高と経常利益の成長性が低下した。 ウ 売上高の成長性は上昇し、経常利益の成長性は低下した。 エ 売上高の成長性は低下し、経常利益の成長性は上昇した。

設問1解説

答え ア

まず、従業員1人当たりの売上高を計算してみましょう。

前期:1,000 ÷ 30 ≒ 33.3 当期:1,200 ÷ 32 = 37.5

ということで「従業員1人当たり売上高」は上昇しました。

続いて「付加価値率」と「付加価値労働生産性」の計算式を見てみましょう。

付加価値率 = 付加価値 ÷ 売上高 付加価値労働生産性 = 付加価値 ÷ 従業員数

となります。 上の計算式から付加価値労働生産性は、 h24-zaimutoi10-1 このように置き換えることができます。

問題文に、「付加価値率に前期と当期で変化がなく」とあるので一人当たりの売上高が上昇しているので、付加価値労働生産性も上昇したことになります。 ということで答えは  となります。

設問2解説

答え ウ

「前々期と前期」、「前期と当期」を比べて成長率がどうなったかを考える問題です。 まずは、「前々期と前期」の売上高と経常利益の成長性を計算してみます。

売上高:1,000 ÷ 950 × 100 ≒ 105% 経常利益:130 ÷ 133 × 100 ≒ 98%

となります。

続いて「前期と当期」です。

売上高:1,200 ÷ 1,000 × 100 = 120% 経常利益:120 ÷ 130 × 100 ≒ 92%

となります。

ということで答えは、 ウ 売上高の成長性は上昇し、経常利益の成長性は低下した。 となります。 丁寧に計算しましたが、わざわざ計算しなくてもおおよそ検討はつくかと思います。