【中小企業診断士】財務・会計過去問解説「H19年第16問」

過去問H19年 第16問

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 K 社では、相互排他的投資案として A 投資案と B 投資案が提案されており、両投資案とも経済命数は3年であり、各投資案のキャッシュ・フロー・データは次のとおりである。 H19.zaimutoi16 また、各期の期待値に基づく両投資案の NPV(正味現在価値)と割引率の関係が下図に示されている。 H19.zaimutoi16-2

(設問1) A投資案と B 投資案の NPV の標準偏差に関する記述として、最も適切なものはどれか。 ただし、NPV を計算する際の各期の割引率は、 A投資案、 B 投資案とも同じとする。また、キャッシュ・フローの各期相互の相関係数も、 A 投資案、 B 投資案とも同じとする。 ア A 投資案と B 投資案の NPV の標準偏差は同じである。 イ A 投資案の NPV の標準偏差は B 投資案のそれより大きい。 ウ B 投資案の NPV の標準偏差は A 投資案のそれより大きい。 エ NPV の標準偏差は相関係数の水準に依存するので、 A投資案の NPV の標準偏差が B 投資案のそれより大きいとか小さいとかは一概には言えない。

(設問2) リスク調整割引率法により投資案の NPV を算出する場合の記述として、最も適切なものはどれか。ただし、キャッシュ・フローが確実に生じる場合の割引率を毎期10%とする。 ア 毎期のリスク・プレミアムが1%のとき、 A 投資案が選択される。 イ 毎期のリスク・プレミアムが1%のとき、 B 投資案が選択される。 ウ 毎期のリスク・プレミアムが5%のとき、 A 投資案が選択される。 エ 毎期のリスク・プレミアムが9.5%と12.6%の間にあるとき、 A 投資案が選択される。

設問1解説

答え ア

表をA投資案とB投資案の標準偏差が同じとなっているので、 答えは ア A 投資案と B 投資案の NPV の標準偏差は同じである。となります。

設問2解説

答え ア

設問2は与えられた図を使って解きます。 まず図に実線と点線がありますが、どちらがA投資案でどちらがB投資案かを判断します。 割引率を0と仮定すると、切片が各投資案のNPVとなります。

A投資案のNPVは、300 + 400 + 800 – 1000 = 500万円 B投資案のNPVは、700 + 400 + 300 – 1000 = 400万円

となります。 ということは、実線の方がA投資案で、点線がB投資案となります。 また、図を見ると、11.8%より割引率が低ければA投資案の方がNPVが高くなり、11.8%より大きい場合はB投資案の方がNPVが高くなることが分かります。 以上を踏まえて選択肢を見ていきましょう。

ア 毎期のリスク・プレミアムが1%のとき、 A 投資案が選択される。 問題文に「割引率を毎期10%とする」とあるので、これにリスクプレミアムの1%を足して11%が割引率となります。 割引率が11.8%より低いのでA投資案の方がNPVが高いですね。

ということで答えは ア 毎期のリスク・プレミアムが1%のとき、 A 投資案が選択される。 となります。